私たちの免疫系は、基本的に微生物など生体を脅かす有害な抗原を認識し、排除する「自己」と「非自己」の認識機構ですが、この免疫系が破綻すると、自己由来の抗原に対して免疫応答が起きたり、本来無害なはずの外来の抗原に対してときに激しい免疫応答が起きたりすることで病気が引き起こされることがあります。前者の代表が自己免疫疾患(膠原病など)があり、後者の代表がアレルギー疾患(喘息など)です。
アレルギー疾患は、生体の恒常的維持に重要な働きをする免疫反応の異常により発症します。近年免疫学の発達により、アレルギー発症の機序を免疫学的側面から解明され関与するT細胞の性質の違いを基準に考えられるようになり、特にT細胞活性化の異常、機能不全によりアレルギー疾患発症をきたすとの考え方が主流を占めるようになりました。
また近年、免疫反応は自然免疫と獲得免疫に分類され、獲得免疫はさらに、ヘルパーT細胞の性質から、Th1およびTh2免疫に細分され、それら免疫は、それぞれの細胞に特異なサイトカインを産生し、そのサイトカインのアンバランスが疾患の発症に関わってくるものと考えられています。
特に感染症の起きにくい過度の清潔志向の環境下で生育すると自然免疫能が低下し、それにリンクしてTh1免疫の低下をきたし、これがTh2免疫優位をきたし、行き過ぎるとアレルギー反応が進行すると考えられています。これらのことから、小児期の感染症の低下が、近年のアレルギー疾患多発の原因のひとつではないかと考えられるようになっています。
(臨床アレルギー学 薬物療法総論 永井 博弌 参照)
その他にも気になる症状があればご相談ください
・発作的な咳やたんが続く
・明け方になると、咳のために目がさめる
・咳、息をする時に「ゼーゼー、ヒューヒュー」と音がする
・風邪をひくと咳が長引く
・冷たい空気・エアコンの風があたると咳が出る
・咳止めを飲んでも、咳が止まらない
気管支喘息の治療薬は、吸入ステロイド薬、テオフィリン製剤やベータ刺激薬などの気管支拡張薬、抗アレルギー薬、炎症を抑える内服ステロイド薬などがあります。それぞれ症状や体質に合わせて組み合わせて処方いたしますが、家庭でも工夫をすることで症状を弱くすることが可能です。室内の清掃や布団などの寝具の管理、ペットの毛やフケが原因の人は住環境の工夫が必要です。また季節や天候の変化で症状が出る場合もありますので注意が必要です。寝不足やストレスも症状を強くする要因となることがあり生活管理が重要となります。
この機器は好酸球性炎症のバイオマーカーとして、呼気に含まれる炎症由来の一酸化窒素(NO)濃度を測定するもので、好酸球性炎症に関する情報を得ることができ、気管支喘息や咳喘息の診断に有用といわれています。
当院では2018年より、呼吸抵抗測定器を導入しています。検査は、安静時の換気下で測定が行われるので、患者様の負担が少なく、胸部聴診や胸部X線で異常を認めない慢性咳嗽の患者様の診断に有用とされています。